ⓔコラム15-5-2 偽性偽性副甲状腺機能低下症 (pseudo-pseudohypoparathyroidism)

概念

 偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型に特有のAlbright遺伝性骨異栄養症の身体徴候を認めるものの,カルシウム代謝には異常を認めない疾患である.多くの場合,偽性副甲状腺機能低下症の家族歴を有する.

病因

 変異GNAS遺伝子を父親から受け継ぐことにより発症する.変異GNAS遺伝子を母親から受け継ぐと偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型を発症する (表15-5-9).

病態

 腎近位尿細管における父由来GNAS遺伝子のインプリンティング現象により,本症ではカルシウムやリンの代謝異常およびビタミンDの活性化障害は生じない.一方で,骨格系においては偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型と同様の異常が生じるものと考えられている.

診断

 特徴的な体型と身体所見を認め,血清カルシウム値に異常を認めない場合には本症と診断される.家族歴として偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型が認められれば,その遺伝形式を確認することで診断はより確実となる.なお,低身長と中手骨短縮を認める疾患としてはTurner症候群の頻度が高いため,偽性副甲状腺機能低下症の家族歴を認めない女児・女性ではTurner症候群の可能性についても考慮する.

治療

 特段の治療は必要とされない.

〔竹内靖博〕